きみがやってきた 前の昼下がり
ぼくと 君はパスタをたべて 散歩した
きみがやってきた 朝の道
ぼくは 梅雨の真ん中の よく晴れた空を見上げた
きみがやってきた いっときまえ
ぼくに 君からの電話が鳴った
ぼくらに きみがやってきた
ぼくの 君はお母さんになった
ぼくらに きみがやってきた
きみがやってきて 間もなく
きみはまだ分からぬ世界をまぶたに感じて ぼくの指を握った
きみがやってきて いっときあと
ぼくとお母さんときみで 手を握り合った
きみがやってきた 帰り道
ぼくは 月夜の下を潤みながら歩いた
なんだか みんなが祝ってくれているような気持ちで ずっと歩いた
ぼくらに きみがやってきた
ちいさなおんなの子の きみがやってきた
まだ名のない 君だけど
ぼくらに きみがやってきた
それだけでもういっぱいだ
2020.06.29
ぼくらに生まれた小さくて暖かなあかり
家族を暖め、
みんなを暖めていくように
この世界のひとつのともしびとなるように
松尾 燈
まつお とう
ToU
2020.07.11