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千葉ウシノヒロバ、オープンしました -その1-

NOTE

 一昨年の2月から長きに渡り設計に携わった「千葉ウシノヒロバ」が、昨秋オープンしました。

この施設は兼ねてより営まれてきた預託牧場を引き継ぐと共に、キャンプ場をはじめとした観光事業や農業、そして酪農業の研究開発事業を加えた新しい試みの場でもあり、様々な目的を持つ人々が緩やかに集う拠点となる事を目指しています。

およそ1年半にも及ぶ設計期間において、私たちは事業者である株式会社千葉牧場と共に、この場所の自分たちらしい場の開かれ方を模索し、様々な方向を検証した結果として、既存施設を最大限に活用する事を選びました。

それはかつての預託牧場を「場の歴史」として引き継ぎ、その地域性を尊重し更には日常の延長線上にこの施設が存在する意味を表しています。新たな事業に合わせた既存施設の利用方法を見直し、安全面の検証と共に減築を行い、そして最小限の増築を経て導かれた施設一帯を設計する過程で私たちが重視した事は、設計者の視点で施設をまとめ上げるゴールに囚われることなく、日々新しいアイデアが産まれる活発な事業計画に柔軟に対応し、事業者と伴走しながらゴールを描く臨機応変な姿勢です。この取り組みは、今後の私たちが時代とともに建築に向き合う意義を大いに考える契機となり、設計者の役割を発展させる必要性を実感する機会となりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く