「移住暮らしの拠点として」の場づくり
CLUBHOUSE MIYAMA -クラブハウス美山-
新潟県糸魚川市.
日本海,富山県,長野県に接する新潟県の最西端の街にある施設の改修計画である.美山公園という1990年代初めに整備された市民公園の中にある既存建物を改修し,コワーキングスペース+図書室を主な目的とした多目的施設として,街の新たな拠点を目指した.公園内には運動施設のほか,キャンプ場,ミュージアム,縄文遺跡などもあり,週末やイベント時には市民の利用がある.しかし,当初サイクリングセンターとしてオープンしたこの施設はかつてのにぎわいもなく,長い間,倉庫のように放置されていた.リモートワークやワーケーションが働き方の選択肢となった近年の潮流に伴い,この施設をwi-fi設備を完備し,コワーキングスペースとして再活用されることに.同時に求められた機能が,以前から施設内に保管してあった寄付された7000冊を超える蔵書を利用した図書室. 市民のための図書スペースを兼ねたくつろぎの場、そして、市内のみならず、県外から来るワーカーたちのためのコワーキングスペースをかねた施設としての計画を行った. 地元の糸魚川杉を利用した 家具は地元材だからこその大断面で製作が可能となった. 東京オリンピックの選手村で使われ、糸魚川に再び帰ってきた杉材もテーブル材として 再利用した. 糸魚川市役所, 建設会社, 森林組合, 家具工場, 鉄工所など関わる方々との距離がとにかく近い. それはこの人口約4万人の糸魚川という街の規模に加え、豊かな自然資源によって育まれた産業構造があるからだろう. 発注者である糸魚川市とも距離の近い進め方ができ, 利用者である市民の方々とも様々な場面で対話を重ね, 協働した建設会社や職人の方々とは素材や加工の可能性から話し合いができた. 大都市でのプロジェクトではなし得ない, 多様な意味の”レスポンスの良さ”が心地よいプロジェクトであった.