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千葉ウシノヒロバ

WORKS

場を引き継ぎ,場の価値を更新する


千葉ウシノヒロバ

 

千葉市若葉区. 家康が鷹狩に行くために整備された御成街道. 里山の地形をダイナミックに横断するこの道中に牧場は位置する. 千葉ウシノヒロバは, 千葉市乳牛育成牧場の跡地にて,預託牧場の事業を引き継ぐと共に,千葉市内陸部の観光拠点として民営化された施設である.酪農業の継続を支えつつ,循環型経済・ポスト資本主義・アニマルウェルフェア・地域再生・自然共生・グリーンツーリズムという複合的テーマの下,10haの土地に千葉の新しい拠点を目指した施設である.

千葉市が半世紀以上にわたり運営してきた預託牧場は財源的な難しさから, 預託事業と乳牛育成牧場を手放した. 事業者と引継いだ千葉牧場は,広大な敷地と点在する既存建物という場の価値と,時代の需要に応じた用途を模索し,預託事業に加え3つの事業と共に引き継ぐことにした.かつての牧草地を生かし, キャンプ機能を軸とした観光事業.地域の農家と連携し,地産地消を進める農業関連事業.大学や専門家と共に,酪農,農業に関わる研究・開発・情報発信を展開する研究開発事業である.

運営する会社は幅広く企画制作をするデザイン会社. 事業を引き継ぐにあたり子会社を興し,専門外である牧場,キャンプ場の運営に向けて取組み始める.計画初期からマスターアーキテクトとして並走し,事業スタートまで濃密かつ円滑に協働するため仕事場を統合した.設計チームもフリー建築家が集い,ビジネスをデザインし経営するデザイン会社とフリーランス的な動きのできる建築家たちがプロジェクトチームを組み, 一からコンセプトを育てていく体制がこのプロジェクトの新しさでもある.

既存施設の改修という言葉だけでは説明しきれないものと向き合った. それは牧場として半世紀を経てきた次第がこの場所にはあったからである. 広大な敷地には施設として管理されてきた自然と, 手の行き届かない自然が混在し, 既存建物には歴代管理者たちがブリコラージュ的に幾重にも営繕を施してきた器用仕事の跡があった. 私たちに求められたのは単なる改修ではなく, 器用仕事をする人, ブリコルールとしての働きだったといえよう. 建築設計を超え, 人と牛を含む生物, 次第をもつ場所と建物との関係をデザインすること. これがプロジェクトにおける仕事であり, 今のSDGs社会が建築デザインに求めているものへの, ひとつの本質的な答え方だと考える.

 

 

<web site>

千葉ウシノヒロバ

<note>

牧場つくるマガジン

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【建築概要】

所在地:千葉県千葉市

用途:牧場+キャンプ場

敷地面積:10ha

竣工年月:2020 秋プレオープン