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SUMIRE STUDIO

WORKS

SUMIRE STUDIO -スミレ スタジオ-

 

「まちにつながる」場づくり


SUMIRE STUDIO -スミレスタジオ-

 

「所有するビルの活用方法を一緒に考えて欲しい」。2017年のこんな相談からSUMIRE STUDIOは始まりまった。日暮里繊維街に面する7階建ての建物は、店舗・オフィス・住宅を有し、長年オーナー夫妻が丁寧に管理してきた複合ビル。住み手の居なくなった住宅部分の活用方法について、オーナー夫妻からはまちとの繋がり合いを意識した新しい事業の場を模索している様子が感じ取れる。私達は、夫妻の思いとある程度の事業性をバランス良く兼ね備えた活用方法は無いだろうかと、まずは運営方法を提案する事から関わりを始めた。オーナー夫妻と日暮里のまちを歩き、お気に入りのお店に行きつつ話を伺うと、布のまちとして賑わいはあるものの、ゆったり過ごしたりつくり手と住民が関われる場がとても少ない事がわかる。様々な方向性で可能性を探る過程を経たのちに、まちにとって豊かな場として開かれながらも、それが別の形で事業になるような柔軟さを持つ方法として、「撮影スタジオ」の運営を提案しました。二層に渡る住宅部分の特徴を活かし、一方は活用次第で雰囲気をつくり込むニュートラルなデザインとし、もう一方はキッチンとテラスが繋がるな柔らかなインテリアを計画しています。様々なニーズに対応する撮影スタジオ運営を意識したインテリアを計画する事で、同時にまちと繋がる可変的な使い方を自然にイメージ出来た。スタジオ運営の面では、カメラマンや利用者の意見を積極的に取り入れる事で事業の実現性を高め、一方でまちのコミュニティという面では、オーナー夫妻と一緒に出来るイベントを企画しました。毎月開くコーヒーショップ、地域の方どうしで開く手づくりマーケット、つくり手のまちを意識したセミナーと、ささやかなそれぞれの出来事を続ける事で、少しずつ近隣の人々に開かれた場に育ちつつあります。建物の利用価値が時代とともに移り変わることを共有し、その変化を勇気を持って受け入れてくれた依頼主が居てくれたからこそ、実現できたプロジェクトであった。私たちは設計者でありながらも、一つ一つの相談の中に隠れる真意を見出しながら、一人一人が考えている事を、まちをはじめとした周辺環境に働きかけるような仕事の取り組み方を柔軟に組み立てていこうと思う。

 

SUMIRE STUDIO

 

【建築概要】

所在地:東京都荒川区

用途:スタジオ

構造/規模:RC造・地上7階建の6・7階

延床面積:128㎡ + 101㎡

竣工年月:2019.06

施工:広橋工務店