ローディング

楽器と賑わいと暮らす

WORKS

-志村坂上のすまい-

リノベーション

 

演奏家、作詞作曲家であるお施主さんは南米やアフリカを飛び回るワールドミュージック系楽団の座長さん。初めて訪れた改修前の家はすでに楽器で溢れかえっていた。古くからの住宅街にある旧家は家族が代々住み継いだ時を感じさせる年代物の住まい。これからの家族の住まいとして、また仕事場として快適にしたいというご要望のもと計画が始まった。いろいろな国や文化で過ごしてきたからだろうか、家の随所随所に対しての考え方が大らかだなぁと打合せの度に気がつかされる。

「1階は土足使いでいい。全面が土間みたいな感じで、玄関はなくて、どこの窓からもそのまま入って来やすいように」

「洗面所には洗面器はいらないね。手や顔は他で洗えるし」

要望や話を聞く度に、こちらも想像して楽しくなるような言葉が返ってくる。

 

そんな中、このリノベーションの要となったのが、楽器置き場と仕事場でもあるスタジオの存在である。パーカッショングループも主催するため、20台を超える太鼓の置き場が求められ、その出し入れは頻繁。かつては2階に積むように置かれていた太鼓を使うたびに階段で降ろす作業は考えるだけで苦労が分かる。また、家での演奏やレコーディングも行うためそれなりの防音仕様も求められた。

太鼓置き場には水回りのスペースが適していた。太鼓の背丈に合わせてもその下に浴室、トイレとして必要十分な高さを確保できる。南米の街中で見るような、鮮やかなイエローボックスの上に太鼓が楽しく並ぶことになった。2階のスタジオ、既存窓をそのまま防音仕様とするために、ヨット金物を使った上げ下げ式の防音戸を設置。重厚感はあるが頼もしい機構ができた。

お仕事柄、国内外のいろんな方が集い、語らい、唄い、泊まっていく家。

「いやぁ何度も言うけど、本当に毎日が快適だよ」

訪ねる度に口にしてくれる言葉と、振舞われる楽しい料理が何よりのねぎらい。その人らしい住まいかた、その人らしい家。住まい手とつくる家づくりは、その都度出来上がる住まいに個性が生まれて楽しい。とりわけリノベーションは、前提条件が多い。既存の家、これまでの暮らし方や使って来た家具、広がる新しい住まいへの夢、それぞれに限られた予算。各々の条件を拱みながらも現状の問題を解決し、家族の新しい場を生み出すリノベーションは住居の外科手術のようなものかもしれない。

 

Planning Point

✔ 1 20台以上の太鼓置き場

✔2 防音性能を確保した簡易スタジオ

✔ 3 みんなが気軽に入って来やすいダイニング

 

TAIMATSU Story

1 水回りをボックスとし、その上に太鼓スペースを確保

✔ 2 既存サッシを変えることなく、上げ下げ式の防音戸を設置

✔ 3 2つの入口、土間使いの床、キッチン続きの賑やかダイニング

BEFORE

   

【建築概要】

所在地:東京都板橋区

用途:専用住宅

家族構成:夫婦+子供一人

構造/規模:木造在来工法・地上2階建

延床面積:76.49㎡

竣工年月:2017.05

施工:きよたけ建築工房